Colt:Single Action Army Cavalry 7-1/2inch Craft Apple Works
 金属薬莢の特許をS&W社にガッチリと押さえられていたコルト社は、特許の切れる時期を目指して、新しい金属薬莢の銃の開発を行った。そして1871年、45口径という大型の金属薬莢を使用した新型銃の生産を開始した。
 1873年にコルト社は満を持して新型のリボルバー『モデル・シングル・アクション』の発売を開始。そして、1870年にライバルS&W社の開発した『S&W Model3』との陸軍に対してのトライアルに勝利して、1875年にアメリカ陸軍の制式拳銃に選ばれ、以降『シングル・アクション・アーミー(通 称:SAA)』と呼ばれる事になった。
 そして、このコルト社の代表作となったSAAは『ピースメーカー(調停者)』という愛称でも呼ばれ、現在に至るまで100年以上も基本構造を変えないまま製作され続けられる事になる。

 SAAは発売当初は銃身(バレル)のサイズが7.5インチであったが、その後5.5インチ、4.75インチと長さを短くしたモデルが揃えられた。日本では7.5インチのモデルを『キャバルリー(騎兵)』、5.4インチを『アーティラリー(砲兵)』、4.75インチを『シビリアン(市民)』と呼ばれている。
 また、これまでコルト社が製作してきた拳銃では、シリンダー上部には何も無いオープン・トップという構造であったが、このSAAではシリンダー上部もしっかりとフレームで覆われており、強度は格段に向上した。これは、今までのパーカッション式の装弾が、まず粉火薬をシリンダーに入れ、その上から鉛製の弾を入れて押し込むという方保を取っていたため、シリンダーを取り外して作業をしていた。そのためコルト社が作ってきたパーカッション式の銃では、特別 な工具を使う事無くシリンダーを取り外す事が可能であった。
 しかし、SAAは金属薬莢を使用する事でシリンダーの取り外しは必要無くなったため、工具を使用しなければシリンダーは取り外すことが出来ない。金属薬莢は1発ずつ本体右側の装弾口から装弾する方法なので、それ程スピーディーに行う事は出来ない。
 また、SAA以前の銃の銃身の下には、火薬の後から入れた弾を更に押し込む為にローディング・ロッドが取り付けられていたが、金属薬莢を使う事になったため、使用済みの薬莢を排出するためのイジェクター・ロッドに変わっている。
 M1851 等パーカッション式の銃と違い、本体右側のゲートを開いて一発ずつ金属薬莢を装填していく。
また、撃ち終わった薬莢もここから取り出す。
 


 写真は、M1851 Navy や、M1861 Navy と同様のクラフト・アップル・ワークスのモデルガンである。
 コルト社では、1871年から1940年まで様々なバリエーションで36万丁近くも作られた続けたモデルを1stジェネレーション。1956年から1974年まで7万数千丁製造したモデルを2ndジェネレーションと呼んでいるが、クラフト・アップル・ワークスがモデル化したのは、最も完成度が高いと言われている2ndジェネレーションである。
 コルト社では、1976年から3rdジェネレーション、1992年からは4thジェネレーションの製作を行っているが、あまり評判は良く無いとの事である。

 SAAが活躍する映画を選ぶのは少々難しい。それは殆どの西部劇ではSAAが活躍しているからである。
 映画ではないが、漫画世代の私が一つ「これ!」というものを挙げるとすれば、熱血野球漫画『巨人の星』の川崎のぼる氏が描いた漫画『荒野の少年イサム(1971年〜)』かもしれない。
 現作は『少年ケニヤ』の原作者でもある山川惣治氏で、アメリカに留学した日本人青年とネイティブ・インディアンの娘の間に生まれた少年イサムの成長を描いた漫画で、アニメ化もされた。

前のページに戻る