私はこの東北の地の深い「農」それも畑作の象徴となるほどのものでなければならないと考えた。それは過去、現在、未来につながるものであり、しかも世界的な大きな流れのなかでの表現でなければならない。 ■制作にあたり |
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1. | 長さ約30m、高さ70cmの粟の穂を大地に造形化し、その中と周辺に粟、ヒエ、そばなどの種をまいている。 |
2. | 石とそのうえに水たまり(湖を意味している。又十和田湖に関連をもたせている)とステンレスで粟の穂を造形化している。 |
これら1と2とその周辺に野生植物(雑草、鳥や昆虫も入る)が混在している。 見る人は始めステンレスの粟の穂に注目するだろう。しかし次第に野生植物の大地の中に渾然としているが、しかしはっきりとした輪郭をもつ巨大な穂を見るだろう。そしてこれらは畑の大地と共に山々に囲まれ、 人間の生存とその鍵を握る原始の豊穰さを秘めた象徴として存在していくことだろう。そして又この事は、この東北の地のこの大地の豊穰さが失われないよう、存在しつづけなければならない運命にもある。 |
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1997年9月 彫刻家 田 辺 光 彰 | |
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