ロータリー財団国際親善奨学金制度
ロータリー財団による、他国の教育機関での勉学および研究を目的とした、少なくとも2ケ年の大学 過程を修了した人を対象とした奨学金プログラム。
留学先のホストクラブと推薦クラブそれぞれに顧問ロータリアンが任命され、補佐を行う。
 
松 下 恵 美
 留学国 アメリカ合衆国
 学 校 オハイオ州立大学

 期 間

1999年9月〜2000年7月
 カウンセラー  川 口   恒

清水中央クラブ推薦の、ロータリー財団国際親善奨学生としてアメリカで勉強されている松下さんにお話を伺いました。
お話の内容は、松下さんが1999-2000年度のロータリー財団奨学生としてアメリカオハイオ州のコロンバスに留学していた当時のものです。

松下さんは清水中央ロータリーから推薦を受けて、ロータリー財団奨学生としてアメリカで勉強されていますが、このプログラムに応募した動機や、経緯などを聞かせてください。
松下  はい。私は1999から2000年度のロータリー財団奨学生としてアメリカに派遣されました。この奨学プログラムは、国際親善を第一の目的としていて、期間は一年、二年、三年とあります。私は一年のプログラムに応募しました。
私が応募したときは、まず清水のロータリークラブにこのプログラムに参加したい旨を伝えました。その後、清水の中での担当クラブの方を紹介して頂きました。
このとき初めて現在もカウンセラーをしていただいている川口さんにお会いしました。私は『面 接なのかなー』、と思ってちょっと緊張していたのですが、とても気さくな方で楽しくお話できたのを覚えています。
これで清水中央ロータリークラブから推薦を頂き、次に地区の選考会に参加しました。選考会は富士で行われ、山梨と静岡地区から数名選考されるということでした。内容は面 接と小論文です。面接ではちょうど面接会場に入る前にお手洗いのところで世間話していた方が面 接官で、びっくりしましたが、実は、その方は静岡でも有名なお寺の住職さんで、またまたびっくりでした。
 
松下さん(写真右)と、クリス・ウィルソンさん
クリスさんは、RI第6690地区オハイオ州コロンバスRCのメンバーで、1999−2000年度のGSEのチームリーダーとして我々RI第2620地区を訪れ、清水中央RCの三上嘉彦君宅にホームステイしました。
合格してからは何か特別 な活動はありましたか?
松下 一度研修会がありました。ここでかつてこのプログラムで海外で勉強された先輩方に会ってお話を伺いました。経験談はとても参考になりました。ただこのときはまだ希望の学校から入学許可を受けている人がほとんどなく、ロータリアンの方、先輩方に励まされて帰ってきました。その後、プログラム開始直前にもう一度集まりました。
このプログラムに参加した動機を教えてもらえますか?
松下 私はインド、チベットの美術史を勉強していたのですが、この分野は欧米で研究が盛んなことを知っていました。また、アメリカの今の担当教授がこの分野を専門で研究していて、資料が豊富にあるだろうと思ったからです。実際、教授とのやり取りで2002年にチベット美術展を先生の企画で行うと聞き、この先生の下で勉強してみたいと思ったからです。
奨学生に選考されてから渡米するまでのことについて教えて下さい。
松下 私は希望滞在国をアメリカとインドにしていたため、ロータリークラブの方から正式に派遣先の通 知を頂くまでは現在の担当教授と連絡を取っていました。入学に必要な書類を集めたり、GREやTOEFLEなどのテストを受けました。入学の手続きはトラブル続きで大変でした。送ったはずの書類が届いてないとか、くるはずの通 知が来ない、こちらが万全をもってしたつもりでもうまくいかないことがありました。学科や graduate office には何度も電話しました。
ただ、こういうトラブルも、学友会の先輩いわく、『入学の手続きから留学は始まっている』だそうです。
日本のように事務手続きがしっかりやってくれる、というのは本当に期待できません。オハイオにいる今でもそうです。どうしたらこんなミスが起こるのか、というようなことが起こって、そのたびに自分が出て行かなければいけません。でもこういう交渉を通 して英語の勉強ができたりするんですよね。こちらも必死ですから。
アメリカでのロータリークラブとの交流について教えて下さい。
松下 派遣先ではホスト・ロータリアンを紹介していただきます。なれない土地に暮らす奨学生にとってはホストは本当に頼りになる存在です。私もホストの方には大変お世話になりました。
私は入学の通知が来たのが遅かったので、寮に入る機会を逃してしまいました。飛行機のチケットを買ったはいいが、行く先もなかったのですが、直前にホストの方と連絡が取れ、その方の家に一週間ほど滞在させてもらうことになりました。そのときに着いてすぐしなければいけないこと、銀行の口座を開くとか、生活用品を買うとか、そういったことを面 倒見てもらい、大変心強かったです。
あと、こちらのクラブの会合に参加させていただきました。受け入れクラブは Dublin AM といって、朝の早くからゴルフクラブに集まります。
私の住む場所からは車で30分くらいかかるので、ホストの方が迎えにくるのが朝5時半とか、そんな早さでした。そこでは数回スピーチをしました。突然マイクを渡されたりすることもありましたが、会合がカジュアルな感じで毎回楽しんで参加できました。会はとても和やかで皆、スピーチがうまく、マイクを渡されると一度は会場を沸かせるといった感じでした。
ロータリー財団のこのプログラムのいいところは、こうした会を通して学校以外の知り合いを作ることにあると思います。学位 取得のための留学だとどうしてもずっと大学に張り付いていて、外の世界とはまったくかかわらないような生活になりがちですが、時々ロータリーの会合やパーティーに参加させてもらうことで、普通 の留学では知り合いになれないような人とも話しができたりしました。
現在の生活についておしえて下さい。
松下 私の通 う大学はquarter制のため、一学期が十週間という短い期間しかありません。その間にpaper を二つ書き、中間テストと期末テストの二つのテストがあり、学期中はとても忙しくなります。私の印象としては日本の大学で一年で勉強することを一学期で終わらせてしまう早さです。
こちらは、この大学だけかも知れませんが、コースワーク中心という感じがします。論文に関してはあまりうるさくなく、卒業するために論文を書かなくても、テストで代用する学科もあるようです。
また、日本のように研究室と言う単位がないのは寂しい気がします。クラスメートが何の研究をしてるのか知っているのは担当教授だけです。院生はみな忙しく、RA、TA をしているのがほとんどなので授業が終わるとたむろする場も時間もなく、それぞれのオフィスに消えてゆきます。
先生との関係も最初は驚きました。まず私にとっては先生をファースト・ネームで呼ぶことは抵抗ありました。先生はフレンドリーで、面 倒見がよい方が多いような気がします。私がコロンバスに着いたときも先生から‘WELCOME’の電話を頂いたりしました。先生とは質問があれば e-mail ですぐ聞くことができるし、office hours が決まっているのでその時間は先生の都合をあまり気にせず、話ができるのでこれはいい方法だと思いました。
これからの目標を聞かせて下さい。
松下 短期的な目標はまずここで学位を取ることです。ここの学科は修士を取るのに3年かかると言われていますが、そこをがんばって早くめどをつけて、できれば現地(インド、チベット)にしばらく行きたいと思っています。
長期的には、大きな希望はありますが、これは私の胸に秘めておきます。
私が勉強を続けるのにあたって思いがけず、いろんな人に協力、援助していただきました。いつか何らかの形で恩返ししたいと思っています。
今後、奨学生、あるいはロータリークラブに希望することはありますか?
松下 奨学生には、渡航する前にできるだけ現地の言葉を学習しておくことでしょうか。学校でもロータリーの活動でも必要になってきます。
ロータリークラブの方にはこちらの受け入れ先でも送り先の清水でも大変お世話になりました。入学の手続き、渡航のことなどスムーズに行かずやきもきしていた私をいつも励まして頂いた清水中央のカウンセラー、オハイオで何もわからない私を引き受けてくださってすぐこちらの生活になれて研究が順調に進むようにと協力してくれたホストの方へ心よりお礼を申し上げたいと思います。
今日はありがとうございました。
松下 ありがとうございました。