演奏会のプログラムから


日本大学芸術学部音楽科・作曲専攻科出身。

指揮を小林研一郎、作曲を青島清彦に師事。

在学中より創作オペラ協会、東京室内歌劇場等にて

多数の邦人オペラ作品に指揮者として携わる。

現在、日本大学管弦楽団指揮者。

女満別町小林研一郎指揮講座講師。

東京室内歌劇場指揮会員。
 
 
 
今回の演奏会でとりあげる作品について、高石先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
SAKURAの演奏会の曲目としては、これまであまりとりあげてこなかったポピュラーな作品が並ぶことになりました
。あえて子供も知っている曲を、というお考えからでしょうか?
高石先生(以下T):いや、結果 的にはそうなりましたが、今までにやってきた曲と照らし合わせた上で、オケとしてのバランスを考えてこういう形になりました。深刻ではないものをやろうとすると、こういう曲になります。体育系の曲。
オケのバランスといいますと?
T:このオケは少し考えすぎる傾向にあると思うのです。私としては、勉強ばっかりして、全然運動しない受験生のようにはなってほしくないのです。
音楽には、大きく分けると芸術音楽とポピュラー音楽のふたつがあります。芸術音楽は、作曲家が自己をみつめて書いているものだから、それを受ける聴衆に考えさせる面 があります。それに対してポピュラー音楽は、何よりもまず聴衆にわかりやすく書かれています。
ベートーヴェンの交響曲では、休符にまで意味が持たされているけれど、今回演奏する曲の多くでは、音のひとつひとつには、そこまでの意味は与えられていない。そういった意味で、頭を使わない曲ともいえます。
今回は、プロコフィエフ、カバレフスキー、L・アンダーソン、そしてガーシュウィンと様々な作曲家をとりあげることになりました。
T:ええ、プログラムの前半と後半で、“20世紀のロシアとアメリカ”ということになりますね。
これらはポピュラーな曲のわりには、以外に演奏される機会に恵まれていないような気もするのですが…。
T:アンダーソンはアメリカのJ・シュトラウスみたいなものだと思うのですが、やはりアメリカの作曲家だから、軽視されてしまう…。芸術的にはウィンナ・ワルツと大して違わないと思うのですがね。メロディーがいいですし、エスプリ、ユーモアがあって、アットホームな雰囲気があります。
プログラムの最後に置いたガーシュウィンの「パリのアメリカ人」についてはいかがですか?
T:演奏するにあたっては、軽視してはいけませんよ。スィングのリズムが出てきますが、楽譜にはそう書いてあるわけではない。例えば、バロック時代のテレマンの楽譜にしても、見てみるとすごく単純なんです。でも、そのまま演奏していたわけではないのです。演奏者はアドリブを使用していたのです。逆にバッハの音楽は、自由性がない為、当時はあまり好まれなかった。ジャズが残りにくいのは、楽譜が無いからなのです。でも、黒人のリズム感というのは、放っておくとああいうスィングの形になるのですよ。
先ほど、頭を使わない曲と言ったけれど、それはベートーヴェンのような思想を感じさせないということであって、このように楽譜に書かれていないリズム感等、曲の意味を汲み取らなければいけない部分はもちろんあるわけです。
なるほど。それでは最後に、お客様に向けて一言お願い致します。
T:ここが聴きどころ、とかいうのではなく、気楽に聴いていただきたいです。
眠ってくれてもいいですよ。自然体で聴いてください。
どうもありがとうございました。
 
(渡辺 真史)

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