“金”は金属だから…

 福島氏は金泥書フォーラムや各地で開催される講演会において、よく「“金”は金属だから…」という言葉を使われます。
“金”が金属であるのは、誰でも知っていますが、金属である“金”を使って和紙に文字を書く難しさを、福島氏はこの言葉で伝えようとされているのです。
 この難しさを多くの方に理解して頂くために、4枚の電子顕微鏡写 真を用意して頂きました。

 

電子顕微鏡写 真【1】
 和紙に墨で書いた文字を、電子顕微鏡で1,000倍に拡大した写真。
 墨の粒子は和紙に浸透し、この状態では確認できない。

 電子顕微鏡写 真【2】
 【1】と同じく和紙に墨で書いた文字を、電子顕微鏡で10,000倍に拡大した写 真。
 この写真で粒状に見えているのが墨の粒子である。
 電子顕微鏡写 真【3】
 和紙に金泥で書いた文字を、電子顕微鏡で1,000倍に拡大した写真。
 【1】の写 真と比較してみれば、墨の粒子に比べて“金”の粒子が如何に大きいかが解る。
  ご覧のように、金属である“金”を粉にして、膠溶液で溶かした金泥で文字を書いても、粒子が大きいため金泥は和紙に浸透していきません。
 下の写 真は大変珍しいもので、金泥で書写した和紙の断面を撮影したものです。
 電子顕微鏡写 真【4】
 和紙を縦に切って、その切り口を電子顕微鏡で撮影した写真。
“金”と“紙”がハッキリと分れている状態が解る。
(マウスのポインタを写 真の上に移動させてみて下さい。)
 

 このように、金泥にしても金属の特性を失わない“金”を使って、和紙に文字を書くことの難しさを千二百年も前の天平人が、どのようにして克服していったのか……
 福島氏の研究はまだまだ続きます。

 
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